公正証書にはどんなメリットがある?作成時の注意点も解説!
不動産売却を夫婦間や親族間の話し合いで決める場合、あとになって意見の食い違いが生じるケースがあります。
「あのとき、ああ言っていたじゃないか」
「自分の言い分が正しい、そっちが間違っている」
このような口論になり、大きなトラブルに発展する可能性も少なくありません。そこでおすすめなのが、公正証書の作成です。
公正証書は、不動産売却時にどのような力を発揮するのでしょうか?今回は、公正証書を作るメリットと注意点について詳しく解説します。
不動産の売却、なぜ公正証書が必要なの?
離婚時や家の相続の際には不動産・家の処分をどうするか話し合うことになりますが、このときに重要なのが公正証書の作成です。なぜこの書類が重要なのか、次よりご説明しましょう。
①口約束はあてにならない!
「俺とお前の仲だから」
「長い付き合いだから、紙1枚の証明書なんていらないでしょ」
このようなセリフを平気で言う人を信用してはいけません。あとになって意見を変えて、自分に都合のよいように話を持っていかれてしまう可能性があります。
家や土地といった不動産は決して安い金額ではなく、売却時には大きなお金が動きます。たとえ仲の良い間柄であったとしても、公正証書をしっかりと作成して書面に残しておきましょう。のちのち何か意見の食い違いが生じても、公正証書を出せばすべて解決です。
離婚の場合は「離婚公正証書」、相続の際は「公正証書遺言」などの名称になります。
②高い証拠能力を持っている
公正証書は、一方的な口約束ではなく、公証人という仲介的な立場の人を交えて作成するものです。 作成の際にその場に立ち会った人全員の合意内容がしっかりと記されているので、あとになって誰かが考えを変えても通用しません。
決定事項を書面に残すものとしては念書や協議書などがありますが、公正証書は公証人の立ち会いのもとに作成されるので、他の書類以上に証拠能力が高い書類となるのです。
公正証書の作成、どんなメリットがある?
「公正証書を作るのってなんだか面倒……」と思っている方もいるでしょう。しかし、不動産売却などの話し合いにおいて、公正証書はさまざまなメリットをもたらしてくれます。
公正証書を作成するメリットとは何か、その代表例を3つご紹介しましょう。
①執行力の高さ
不動産の売却などにおいて意見の食い違いが生じた場合、最悪、裁判にまで発展することもあります。しかし、公正証書があれば、その書面に記されている内容の執行力が高いため、相手の言い分を聞く必要はありません。
公正証書がなければ、裁判に発展して余計な時間や手間がかかることもあるでしょう。一方、公正証書さえあれば、そのような面倒を回避できます。
公正証書は「それぞれが公証人の仲介のもとで話し合って合意にいたった」という証拠なので、どのような言い分も通用しない執行力を持っているのです。
②嘘をついた人の財産開示が可能
離婚した相手などが、「お金がないからその不動産をよこせ」などと言ってくるケースがあります。「自分はさまざまな理由でお金がないので、不動産を売却したお金を多く受け取る権利がある」といった言い分です。
そのようなときに、公正証書があれば、相手に本当に財産がないのか裁判所へ情報開示請求をすることができます。相手の嘘も簡単に見破ることが可能なのです。
③紛失・偽造の心配も不要
公正証書を作成した方のなかには、「この大事な書類をなくしてしまったら……」「誰かが偽造したら……」などと不安に感じている方もいるでしょう。しかし、心配はいりません。公正証書は、そのような事態を想定して、同じ内容のものを複数枚作成されるからです。
また、公証人がその書面の内容を保管しているので、紛失・偽造があってもその内容を証明できる仕組みです。
公正証書、作成時の注意点は何?
不動産の売却など大きな金額が動く事態に対して抜群の執行力・説得力・トラブル回避能力を持つ公正証書ですが、作成する際にはいくつかの注意点があります。
スムーズに公正証書を作成するためにも、これからお伝えする3つの注意点を押さえておきましょう。
①作成費用が高額
公正証書は、扱う対象の価値によって金額が異なる仕組みです。不動産など高額のものであれば、それだけ作成にかかる費用も比例して高くなります。
家・不動産を対象とした公正証書の費用は、1〜2万円台が相場です。もし、不動産に億を超える価値がある場合、5万〜24万円ほどの高額になります。
公正証書にかかる費用は誰が出すのか、誰がどれくらいの割合のお金を払うのか、事前に話し合っておきましょう。
②差し押さえができない場合がある
不動産の売却に関する問題とは別に、夫婦間の離婚問題が浮上したときも、公正証書の作成が執行能力を発揮します。慰謝料や養育費の請求の際、相手方が拒否をしたとしても、公正証書の提示さえすれば相手方の財産を強制的に差し押さえることが可能です。
ただし、相手方に財産と呼べるものがまったくない場合は、差し押さえできるもの自体が存在しないので、強制的な請求はできません。公正証書の提示も、財産自体がないと意味はないのです。
③公証人にすべてを話さないといけない
不動産の売却などとは別に、夫婦間の離婚問題などで公正証書を作成しないといけない方もいるでしょう。公正証書を作成するにあたっては、少しでも精度の高い内容にするために、公正証書作成の対象に関するあらゆることを公証人に話す必要があります。
公証人には守秘義務があるので、話した内容が外部に漏れたり、公表されたりすることはもちろんありません。しかし、夫婦間のトラブルや不倫など私生活のゴタゴタを話すのが恥ずかしくて躊躇してしまう方にとって、公正証書の作成は辛い時間になるでしょう。
公正証書の作成に困った場合は、不動産会社への相談がおすすめ
公正証書は、普段の生活で使用・作成する機会はほとんどなく、一生縁がなくてその存在すら知らないという方も珍しくありません。いざ自分が公正証書を作成することになったら、何をしてよいのか、何から始めたらよいのかわからない方もいるはずです。
「法律に関することだから弁護士や司法書士に相談したいけど、ハードルが高い感じが……」とお悩みの方もいるでしょう。そのような方におすすめなのが、不動産会社への相談です。
公正証書の作成と不動産会社、一見、何も共通点がないと感じるかもしれません。しかし、不動産売却に関することで公正証書を作成する場合、それは不動産会社の業務の範囲です。
不動産の売却には他にもさまざまな書類の準備や手続きが必要で、一般の方が簡単に行なえるものではありません。不動産に関するお悩みを持っている方のために、不動産会社は相談窓口を設けて、いつでも対応できるようにしています。
また、弁護士などの専門家とのネットワークもあるので、不動産のあらゆる問題に対応可能です。公正証書について悩んでいる方は、一度不動産会社に相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
不動産売却にはさまざまな書類の準備や手続きが必要で、売買を成立させるまでには時間も手間もかかります。また、不動産には大きな価値があるため、売却時だけでなく売却後にもトラブルが発生するリスクがあります。
そのような面倒やトラブルを回避するのに有効な手段が、公正証書の作成です。公証人立ち会いのもとに作成するので執行能力が高く、どのような面倒なことが起きてもこれさえ提示すればすぐに解決できます。
公正証書の作成に困っている場合は、イエステーションへご相談ください。公正証書の作成に限らず、不動産のあらゆる問題へのわかりやすいアドバイスや丁寧なサポートをすることが可能です。